◉『モアの地鳴き』終幕！◉
九月二〇日から五日間に渡り敢行しておりました舞台公演、『最愛の慈泣き』改め、『モアの地鳴き』が、二十四日、幕をおろしました。
千秋楽の当日午前一時、十二時辰は鶏鳴（けいめい）にて発表された、公演タイトルの変更。おそらく前代未聞のことだと思いますし、困惑した方もいらっしゃったと思います。あらかじめ、計画していたことだったんです。
『最愛の慈泣き』。
ヒロインの名は、最も愛すると書いて「最愛（もあ）」。事務所の養成所に所属しており、立派なアイドルになるのが夢の少女。そんな彼女は、同じ養成所に所属する杏理（あんり）、シャイと三人で『ジャイアントモア』というユニットを結成することとなる。彼女らを取り巻くアイドルたち、ファン、そして事務所側の人間を描く群像劇。ジャイアントモアは、そして他のアイドルたちは、高く飛び立てるのか。
◉人物たち◉
もあ … 詩萌さん
本作のヒロイン。走る事、食べる事、人と喋る事が好き。明るく、マイペースだが根はしっかり者。「ジャイアントモア」での担当カラーは黄色。ミヤコ、ウっちゃんとは同期。
杏理 … 池下真紀さん
頼れる姉御肌。サッパリとした性格で、三人の纏め役。「ジャイアントモア」での担当カラーは赤色。嫉妬したシギに毒を飲まされて歌えなくなってしまい、「ジャイアントモア」から脱退する事となる。
シャイ … 工藤彩加さん
お客さんに緊張して言葉が出てこなくなってしまうなど引っ込み思案な面もあるが、頑張り屋。「ジャイアントモア」での担当カラーは緑色。杏理が脱退した後、思い悩み、自ら命を絶った。
リョーコ … 女以さん
先輩のレイとコンビで活動。同じ事務所のアイドル・ライの彼女だが周囲には隠している。旅行好き。
レイ … 愛美もえさん
後輩のリョーコとコンビで活動。相方のリョーコを心から信頼しているが、リョーコとライのスキャンダルに巻き込まれ、錯乱状態に。
ライ … 梶野英一さん
事務所所属のイケメンアイドル。リョーコの恋人。岩佐には兄貴分として慕われている。リョーコとの関係をパパラッチされてしまい、窮地に追い込まれる。
シギ … 金子みなもさん
最近正式にデビューしたばかり。かつては杏理と仲が良かったが、杏理が「ジャイアントモア」のメンバーに選ばれ人気が出始めてからは腹に一物あるようだ。計算高いが、性格が悪い。
クライ … まついゆかさん
美しく気高い事務所のトップアイドルで、皆の憧れ。しかし、「ジャイアントモア」に自身の曲のカバーを発表されると、徐々に人気に翳りが見え始める。
上池 … 坂木加奈子さん
天使のように優しく、おっとりした性格。養成所の古株。過去の過失が原因で事務所に借金をしており、レッスン料も払い続けながらデビューはさせてもらえないという状況に置かれている。
岩佐 … 小田嶋優斗さん
クライに次ぐ人気を持つアイドル。事務所の中でも年若く、元気一杯の可愛らしい少年。無茶なレッスンとライブ中の事故が祟り、身体が悲鳴を上げはじめる。
（わたし！）
ミヤコ … ドドメリナ
ゴスロリ風の衣裳に身を包んだ新人アイドル。もあ、ウッちゃんとは同期。何もかも事務所の言いなりであやつり人形状態の自分に嫌気がさしており、周囲、特にウッちゃんにキツく当たりはじめる。
ウっちゃん … よこたあやさん
底抜けに明るく、天然で、少々おバカ。もあ、ミヤコとは同期だが、同期の中で唯一アイドルとしてデビューしていない。良いキャラではあるものの、歌もダンスも不得手。
ホモ … 村田神一さん
養成所の講師で、通称「ホモ先生」。ホモだという噂がまことしやかに囁かれているらしい。小難しい長話ばかりするのでアイドル達からは嫌がられている。岩佐を贔屓にしているが、人気が出てきた「ジャイアントモア」の方が気になりはじめ…。
（ツーショット撮りわすれ！）
ニノゲン … 三崎亮さん
事務所箱推しの熱心なアイドルオタク。最近は「ジャイアントモア」がお気に入り。アイドルの恋愛沙汰には非常に敏感で、リョーコとライのスキャンダルが発覚した際には激怒して殴り込みを掛けてきたほど。しかし、それだけでは彼の気は済まなかった。
ヒトシ … 深沢あきらさん
「ジャイナントモア」の専属マネージャー。常にアイドルたちのことを一番に考え、真剣に向き合っている。
超〜〜全員とツーショ撮った気でいたのに！ 撮り忘れが多い！ つらいよお！
後日ちょこちょこほかの出演者さんのブログやTwitterから拾ってきて、補完したいところです。
まあそれは取り敢えず置いときます。くやしいけど。兎に角、つい先日まで、大体こんなかんじのお話しです、と、説明してきました。
けれど中盤を過ぎた辺りから雲行きが怪しくなってきます。
アイドルたちが踊る鳥の形態模写のような群舞が終わると、ヒトシが言います。
「昔、ジャイアントモアという鳥がいました。
彼らは食べた物を消化するために、石を呑み込んでいました。
硬い硬い、石を。生きるために。」
この物語りは、煌やかなアイドルの物語ではないんです。
改題された方が正式な題名なんです。
『モアの地鳴き』。
絶滅した鳥たちの、最期の物語でした。
モア 杏理 シャイ ジャイアントモア 一五〇〇年代以前には絶滅
リョーコ リョコウバト 一九一四年絶滅
レイ レイサンクイナ 一九四四年絶滅
ライ カロライナインコ 一九〇四年絶滅
クライ ゴクラクインコ 一九二一年絶滅
上池 ウェーククイナ 一九四六年絶滅
岩佐 スティーブンイワサザイ 一八九四年絶滅
ウっちゃん メガネウ 一八五二年絶滅
ホモ ニノゲン ヒトシ 人間
そして、わたし
ミヤコ 改め カナリアミヤコドリ
十五世紀、カナリア諸島に人間が移住。
乱獲、外来生物により、数を減らし
更にリゾート地として島中をコンクリートにされ
一九四〇年 絶滅
目、くちばし、脚だけが鮮やかな赤色の、真っ黒な鳥。
リゾート開発によって住処を追われ、一九四〇年にはカナリア諸島から完全に姿を消した。しかし近年、近隣の島にて僅か数羽だが「似た鳥を見た」という目撃証言が挙っている。もしかしたら、まだ何処かに……という可能性を残した種。
だから、作中、いろんな鳥たちが人間たちの手によって次々と舞台上で屠られてゆくなか、ミヤコドリは、「わたしも、いつまで走れるかな。」という言葉を残して走り去って、曖昧な終わりを迎えるんだよ。
アイドルの少女たちが吞んだのは、意志
ジャイアントモアが吞んだのは、石
そして少女たちもジャイアントモアも、他の鳥たちも、人間の自分本位な意志で、殺されたのだ。
鳥のあたまを模したおどり。
みんなで◎
今回、集合写真も単体写真も、あまりにタイトなスケジュールのせいで全くといっていいほど撮れてません！ その代わり（？）稽古場写真は沢山あるのだけれど、大概ろくでもない顔と格好をして写ってるから、載せられそうなのが全然ないのよな！
載せられるのないな〜と思って稽古場撮影の写真を遡っていたら、こんなのがあった。もあちゃんの髪の毛を掴んで凄い顔してるんだけど、全くもって記憶にない。何だこれ……マジでいつ……？ こんなシーンないんだけどな……こわ……。
（追記 もあちゃんに教えて貰ったけど、これわたしの拳じゃなくてもあちゃんの髪と髪飾りだそうです！ ア〜〜〜ビックリした）
打ち上げは「UNOをしまくった」ということしか覚えてません。ウフ。UNOは奥深いカードゲームだぞ、みんなやろうね。とりかえっこ・ワイルド！！！！！！
書きたいことは色々あるんだけど、そろそろ纏めないと無限に終わらないので、このほかのことはTwitterで小出しにしていきますね。
『最愛の慈泣き』、『モアの地鳴き』
そして大千秋楽では『モアの地鳴き 絶滅動物園』。
共演してくださった皆さま、裏舞台を支えてくださった皆さま、作品を生み出し、貴重な機会を下さったひなたさん、ご来場してくださったお客さま 全ての、作品に関わってくださった方々、御礼を言っても言い切れません。本当に、本当に、有り難うございました。
私たちが滅ぼしたのは、触れることのできない偶像でしょうか
懸命に生きる少女でしょうか
未来ある若者でしょうか
かけがえのない命でしょうか
ここにはもう居ない記録の中の情報でしょうか
遠いどこかの出来事でしょうか
年表に記された一行の文字でしょうか
思う通りにいてほしい愛玩動物でしょうか
数ある同じような鳥のうちの一部でしょうか
それとも、
ただ 羽毛に覆われただけの、
心を知りえぬヒト以外の何かでしょうか
煮えるような熱い意志を、すこしでも受け取っていただけたのであれば幸いです。
それでは、また、きっと何処かの世界で。
さようなら。
カナリアミヤコドリ役
ドドメ リナ
